2015.08.31 Monday

第三者による個人保証の制限〜民法改正〜

 金融庁「中小・地域金融機関向けの総合的な監査指針(平成27年4月)」より、「経営者以外の第三者による個人連帯保証を求めないことを原則とする融資慣行の確立等」の一部を参考として掲載します。

1.「-11経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないことを原則とする融資慣行の確立等」
 -11-1 意義
   一般に、多くの中小企業(個人事業主を含む。)においては、家計と経営が未分類であ
  ることや、財務諸表の信頼性が必ずしも十分でないなどの指摘があることから、こうした
  中小企業に対する融資においては、企業の信用補完や経営に対する規律付けの観点から、
  経営者に対する個人保証を求める場合がある。他方、経営者以外の第三者の個人保証につ
  いては、副次的な信用補完や経営者のモラル確保のための機能がある一方、直接的な経営
  責任がない第三者に債務者と保証債務を負わせることが適当なのかという指摘がある。
   また、保証履行時における保証人に対する対応如何によっては、経営者としての再起を
  図るチャンスを失わせたり、社会生活を営む基盤すら失わせるという問題を生じさせてい
  るのではないかとの指摘があることに鑑み、金融機関には、保証履行時において、保証人
  の資産・収入を踏まえたきめ細やかな対応が求められる。
   こうした状況に鑑み、「金融資本市場及び金融産業の活性化等のためのアクションプラ
  ン」(平成22年12月24日公表)において、「経営者以外の第三者の個人連帯保証を求め
  ないことを原則とする融資慣行を確立し、また、保証履行時における保証人の資産・収入
  を踏まえた対応を促進」することとしたところであり、金融機関においては、こうした趣
  旨を十分に踏まえた対応を行う必要がある。
 -11-2 主な着眼点
   (1)経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないことを原則とする融資慣行の確立
      個人連帯保証契約については、経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないこと
    を原則とする方針を定めているか。また、方針を定める際や例外的に経営者以外の第
    三者との間で個人連帯保証契約を締結する際には、必要に応じ、「信用保証協会にお
    ける第三者保証人徴求の原則禁止について」における考え方を踏まえているか。
     特に、経営者以外の第三者が、経営に実質的に関与していないにもかかわらず、例
    外的に個人連帯保証契約を締結する場合には、当該契約は契約者本人による自発的な
    意思に基づく申し出によるものであって、金融機関から要求されたものではないこと
    が確保されているか。
    (参考)信用保証協会における第三者保証人徴求の原則禁止について(抄、平成18
        年3月31日中小企業庁ウェブサイト)
        (前略)中小企業庁では、信用保証協会行う保証制度(略)について、平
        成18年度に入ってから保証協会に対して保証申込を行った案件については
        、経営者本人以外の第三者を保証人として求めることを、原則禁止します。
         ただし、下記のような特別な事情がある場合については、例外とします。
       (中略)
        1.実質的な経営権を有している者、営業許可名義人又は経営者本人の配偶者
         (当該経営者本人と共に当該事業に従事する配偶者に限る。)が連帯保証
         人となる場合
        2.経営者本人の健康上の理由のため、事業継承予定者が連帯保証人となる場
         合
        3.財務内容その他の経営の状況を総合的に判断して、通常考えられる保証の
         リスク許容額を超える保証依頼がある場合であって、当該事業の協力者や
         支援者から積極的に連帯保証の申し出があった場合(ただし、協力者等が
         自発的に連帯保証の申し出を行ったことが客観的に認められる場合に限る
         。)
   (2)保証履行時における保証人の履行能力等を踏まえた対応と促進
      保証人(個人事業主たる主債務者を含む。)に保証債務(当該主債務者の債務を含
     む。)の履行を求める場合には、上記意義にある指摘に鑑み、保証債務弁済の履行状
     況及び保証債務を負うに至った経緯などその責任の度合いに留意し、保証人の生活実
     態を十分に踏まえて判断される各保証人の履行能力に応じた合理的な負担方法とする
     など、きめ細かな対応を行う態勢となっているか。
      また、第三者の個人連帯保証の保証履行時等においても、「経営者保証に関するガ
     イドライン」は適用され得るとの点に留意し、必要に応じ、ガイドラインの活用を検
     討し、ガイドラインに基づく対応を行う態勢となっているか。

2.経営管理の強化に取り組んでいる取引先に対して経営者保証を求めなかった事例
   〜「経営者保証に関するガイドラインの活用に係る参考事例集」より〜
   (1)主債務者及び保証人の状況、事案の背景等
     ・当社は、建設工事及び建材卸売業を営んでおり、建材卸売部門では大手メーカーや
      商社等と代理店・特約店契約を結んでおり、多種多様な商品(内外装タイル、ユニ
      ットバス、耐火壁、エレベーター等)を取り扱っていいる。
     ・震災復興関連工事の受注の増加により増収基調が続いており、内部留保も厚く堅固
      な財務内容を維持している。
     ・当行は、メイン行ではないものの、増加する震災復興関連工事に伴う資金需要に対
      応してきたところ、当社から短期資金の借入の相談があった。
     ・また、借入の相談の際に、当行本部から送付されたガイドラインのパンフレットを
      見た経営者から、経営者保証を求めない融資の相談を受けたことから、ガイドライ
      ンの内容を改めて説明するとともに、当社から提出のあった直近の試算表や工事概
      況調等を勘案しつつ、ガイドラインの適用要件等の確認を行った上で回答すること
      とした。
   (2)経営者保証に依存しない融資の具体的内容
     ・当行の営業店では、案件受付票の作成に合わせ、今回新設した「経営者保証に関す
      るガイドラインチェックシート」を活用し、適用要件の確認を実施している。当該
      手続による確認の結果、以下のような点を勘案し、経営者保証を求めないで新規融
      資に応じることとした。
     〃荵蚕駑爐砲弔い董崔羮企業の会計に関する基本要領」に則った計算書類を作成
      し、地元の大手会計事務所が検証等を行っているなど、法人と経営者の関係の明
      確な区分・分離がなされていること
     内部留保も厚く堅固な財務内容を維持しており、償還面に問題がないこと
     四半期毎に試算表等の提出を行うなど、当社の業況等が継続的に確認可能なこと
     ・当社とは、長年の取引を通じてリレーションシップは十分に構築されている。震災
      復興関連工事の増加による業況の拡大が、ガイドラインで求められている返済能力
      の向上に寄与している面は否めないが、当社が、外部専門家による検証等を含め、
      経営管理の強化に従来以上に取り組むことを表明していることから、当行としても
      、業況の把握に留まらず、当社の経営管理体制の構築について引き続き積極的にア
      ドバイスを行っていく方針である。

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