2016.03.01 Tuesday

役員給与の税務と注意点

 役員給与の「定期同額給与」については、事業年度開始から3か月以内
でなければ、支給額を改定できないということは、中小企業経営者に定着し
てきていますが、たとえ減額であっても、原則として期中の改定は認められ
ない
ことについて、今一度、注意しましょう。
 また、家族役員・社員の給与については、近年、税務調査でのチェックが
厳しくなっています
ので、勤務実態と支給額が見合っているかについての記
録をきちんと残しておくようにします。
 経営計画の策定の過程では、目標経営利益達成に向けて「役員報酬の増減」
が重要なポイントになります。ご自身の役員給与をいくらにするかを考える
きっかけにしてください。

1.定期同額給与の減額改定
 役員給与は、定期同額給与であれば、全額を損金に算入することができ、
原則として、事業年度開始から3か月以内であれば、給与の額を改定するこ
とができます。

(1)臨時改定事由
  当該事業年度において当該内国法人の役員の職制上の地位の変更、その
 役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情に
 よりされたこれらの役員に係る定期給与の額の改定(法令69 櫂蹇

(2)事業悪化改定事由
  当該事業年度において当該内国法人の経営の状況が著しく悪化したこと
 その他これに類する理由によりされた定期給与の額の改定
                       (法令69 櫂蓮
 ここでいう「経営状況の著しい悪化」とは、次のような場合をいいます。
  〆睫浬表の数値が相当程度悪化した。
  倒産の危機に面している。
  7弍聴化により、株主、債権者、取引先等との関係上、役員給与を減
   額しなければならなくなった。
 具体例としては、次のような場合です。
  (例 剖叛咾篋睫馨況、資金繰りが悪化したことから、取引先等から
      の信用を維持・確保するために、役員給与の減額を盛り込んだ
      経営改善計画を策定した。
  (例◆房莪銀行との間で、借入金返済の延長や条件緩和をするために
      、役員給与を減額しなければならなくなった。

(3)安易な減額改定には要注意危険
  減額改定において、経営利益が前年比で6%減少したことから、代表取
 締役の役員報酬を決算月の前月に減額したところ、「その減額は業績悪化
 事由に該当しない」として、減額後の金額が定期同額給与と認定されてし
 まい、それを超える金額については損金を否認され課税処分を受けてしま
 った事例(平成23年1月25日の国税不服審判所の裁決)があります。

(4)定期同額給与でよくある失敗例危険
  例えば、会社を6月15日に設立した場合で「6月は半分過ぎたから、
 この月は役員報酬は半分の30万円にしよう!」として次の月から定額で
 60万円にしたとします。すると「定期同額ではない」とみなされ、その
 役員報酬の一部(60万円−30万円=30万円)が損金として認められ
 なくなります。役員報酬は委任契約に基づき役員が会社から受け取る報酬
 であり従業員の様に雇用契約によるものではありません。役員報酬に関し
 ては、各支給時期に支給された月額報酬がその役員報酬に係るその月分と
 いうことになりますので、株主総会等において支給時期まで定められてい
 る場合を除き、支給日に役員報酬としての経理処理がされるのであれば、
 その支払日が支給時期となってその日支払われたものがその月分の役員報
 酬とされることとなります。更に役員報酬は従業員のように締日と支払日
 までの期間を、締め後未払い給与として計上する事もできませんので注意
 が必要です。

2.勤務実態の証明に役立つ主な書類等において明らかにしておく内容
 勤務実態の証明に役立つ主な書類等は、以下のような事を明らかにします
*書類、資料  【明らかにしておく内容】 
 ・役員報酬
 /μ蓋限規程 【具体的な業務執行の範囲】
 ⊆萃役会議事録【定期的な取締役会際の事実】
         【取締役会への出席と発言の事実】
         【非常勤取締役への委託事項】
 c筏捗顱    攴蟯鰭署についての稟議書決済による業務執行事実】
 ざ侈灰好吋献紂璽詆宗 攴亢弌⊇業の状況】
 ド淪楾欺等(異動)申告書
         【給与所得を受給する際の税務上の必須事項】
 ・従業員給与
 仝柩儼戚鵝   擽饌療な労働の範囲】
 ⊇亢佇蹐筌織ぅ爛ード【就労の事実】
 N紅餮鯆免颪覆彪佝颪寮胸蚕
         【会社を離れて就労した場合の就労の事実】
 ど淪楾欺等の(異動)申告書
         【給与所得を受給する際の税務上の必須書類】
【参考】役員給与課税の重要点解説 明解理論と実務の100問100答
                 (衛藤政憲著、大蔵財務相協会)他