2016.03.31 Thursday

消費税改正に備えて再確認したい帳簿の記載事項

 来年(平成29年)4月から消費税率の10%への引き上げが予定され
ています。それに伴って軽減税率が導入され複数税率になり、平成33年
4月からはインボイス方式の導入も予定され、仕入税額控除の要件が厳格
化されます。
記帳がきちんとなされているか再確認しましょう。

見る仕入税額控除とは
 消費税の計算で売上時に受け取った消費税額から差し引く控除のこと
 事業に必要な物品購入など、仕入れのために支払った消費税額をいう
 


1.帳簿に記載する事項が不備だと仕入税額控除が受けられない?!冷や汗
(1)帳簿に作成及び保存について
 課税事業者は、帳簿を備え付けて、記載事項を整然と、かつ、明りょう
に記録しなければなりません。なお、課税事業者(簡易課税を選択した事
業者を除く)が仕入税額控除を受けようとする場合には、その課税期間の
仕入税額控除に係る帳簿及び請求書等を保存しなければなりません。
 この帳簿は、その閉鎖の日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を
経過した日から7年間、事業者の納税地又はその事業に係る事務所等に保
存しなければなりません。

2.仕入税額控除を受けるための帳簿の記載事項とは?
仕入税額控除を受けるための記載内容のポイントは、以下のとおりです。
(1)記載すべき氏名又は名称について
 課税仕入れの相手方については、その「氏名又は名称」を帳簿に記載す
ることとされています。例えば、個人事業者であれば「田中一郎」等と、
また、法人であれば「株式会社鈴木商店」等と記載することが原則
です。
 ただし、正式な氏名又は名称及びそれらの略称が記載されている取引先
名簿が備え付けられていることなどにより課税仕入れの相手方が特定でき
る状況ある場合には、例えば「田中」、「鈴木商店」のような記載であっ
ても差さえないとされています。

(2)一定期間分の取引のまとめ記載について
 課税期間の範囲内で一定期間の取引について請求書等をまとめて作成
する場合には、その請求書等に記載すべき課税仕入れの年月日については
その一定期間でよいこととされています。これには、例えば、電気、ガ
ス、水道水等のように継続的に供給されるもので、一定期間ごとに供給量
を検診し、その結果により料金を請求するという取引の場合が該当します
が、このような取引に係る請求書等に基づいて帳簿を作成する場合には、
課税仕入れの年月日の記載も同様の記載で差し支えありません。
 なお、一定期間とは「○月分」という記載でも差し支えありません。

(3)一取引で複数の種類の品を購入した場合について
 一回の取引で、複数の一般的な総称の商品を2種類以上購入した場合で
も、例えば、建設会社が文房具と飲料水を購入したときのように、それが
経費に属する課税仕入れである場合には、課税仕入れに係る資産又は役務
の内容として、「文房具ほか」、「文房具等」と記載することで差し支え
ありません。
ただし、課税商品と非課税商品がある場合には区分して記載
する必要があります。

(4)取引の事実を証明する書類も保管
 仕入税額控除の適用を受けるためには、課税仕入れの事実を記載した帳
簿の保存に加えて、請求書、領収書、納品書などの取引の事実を証する書
類も併せて保存する
こととされています。

3.消費税「インボイス方式」の導入による実務への影響
(1)消費税の制度が大きく変わる
 適格請求書発行事業者登録制度が新たに創設され、原則として「適格請
求書発行事業者」(仮称)から交付を受けた「適格請求書」(仮称)又は
「適格簡易請求書」(仮称)の保存が仕入課税額控除の要件とされ、登録
事業者は適格請求書の交付・保存が義務づけられます。
 また免税事業者は適格請求書発行事業者になることができず、免税事業
者からの仕入れは仕入税額控除できない
点や、罰則等が強化されるなどの
制度が大きく変わります。

(2)仕入税額控除の要件が厳格化
 原則として、「適格請求書発行事業者」から交付を受けた「適格請求書
」又は「適格簡易請求書」の保存が仕入課税控除の要件とされるとともに
、請求書等への記載事項が追加されます。現行の支払対価の額が3万円未
満の課税仕入れについて請求書等の保存を不要とする規定は廃止されます
。(3万円未満の課税仕入れであっても、帳簿の保存により仕入税額控除
が認められる場合を除き、適格請求書等の保存が必要となります)。
【参考】国税庁タックスアンサー
  「No.6497 仕入税額控除のための保存する帳簿の記載内容
 財務省
  「平成28年度税制改正(案)のポイント」(平成28年2月発行)