2016.07.20 Wednesday

貸倒損失の税務の基礎知識

 法人が有する売掛金や貸付金などの金銭債権が回収不能に陥っているか

どうかの認定は、その債務者の財務状況や支払能力など総合的に勘案して

判定されますが、貸倒損失の計上を法人の任意としてしまうと租税回避行

為につながる可能性が生じます。

 

1.法人税法における取扱い

 法人税法では、具体的な判断基準は法人税法基本通達において次の態様

ごとに行うとしています。

 態 様

債権の

種 類

  貸倒れの発生事実  対象金額 経理処理

法律上の

 貸倒れ

(法基通

9-6-1)

金 銭

債 権

会社更生法、民事再生法等

による認可の決定

切捨てられる

こととなった

部分の金額

損金経理

または

申告調整

関係者の協議決定(合理的な基準)による切捨て

書面による債務免除

書面による

債務免除額

事実上の

 貸倒れ

(法基通

9-6-2)

 

金 銭

債 権

債務者の資産状況、支払能力等から見て全額の回収ができないことが明らかになった場合

金銭債務

  の金額

損金経理

形式上の

 貸倒れ

(法基通

9-6-3)

 

売 掛

債 権

継続取引のあった債務者との取引停止以後1年以上通過した場合 売掛債務の額から備忘価格(1円)を控除した金額 損金経理
同一地域の売掛債権の総額が取立費用に満たない場合に、督促したが弁済がない場合

 

2.実務における留意点

 法人が貸倒損失の計上を検討する際には、上記1に該当するか否かの判

断をしていくことになりますが、実務上は次の点を理解しておくことが重

要です。

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  会社再生法等による許可の決定があったときに切り捨てられることに

 なります。したがって、債務者が手続開始の申し立てを行った段階では

 貸倒損失を計上することはできません。ただし、個別評価による貸倒引

 当金を計上することができます。

  書面による債務免除については、単に債権放棄の通知をすればよいの

 ではなく、債務者において債務超過の状態が相当期間継続し、債務の弁

 済が不可能と判断されることが必要です。債務の弁済が可能であるとき

 は、債務の免除をした金額は寄附金として扱われます。

 *「相当期間」とは、債権者が債務者の経営状態をみて回収可能かどう

  かを判断するために必要な合理的な期間をいい、形式的に何年という

  ことではなく、個別の事情に応じその期間は異なります。

 ∋実上の貸倒れ

  金銭債権の全額が回収不能でなければ貸倒損失を計上することはでき

  ません。したがって、担保などを有している場合は、担保物を処分した

  後でなければ、また、保証人がある場合には、その保証人からも全額回

  収不能であることが明らかである必要があります。

 7措鮎紊梁濺櫃

  売掛金や受取手形などの売掛債権に限られますので貸付金などは該当

 しません。また、貸倒損失を計上するとしても法律的には存在しており

 ますので、必ず備忘価格を付しておくことが必要です。

 

 【参考】

   国税庁タックスアンサー 「No.5320 貸倒損失として処理できる場合」